「非認知能力」の本質は、磨き上げられた「自己認知」にある
昨今注目される「非認知能力」。
僕はその本質は「能力」ではなく、その子に備わった特性や個性、つまり「その人らしさ」そのものだと捉えています。
「能力」という名前をつけて測定しようとするから、結局は点数と同じように外側から追い求めてしまう。
でも、本来大切なのは、日々の生活の中にある子どもの仕草や感情を観察し、「あなたらしいね」と伝えてあげることです。
漠然としていた「自分らしさ(非認知)」を、本人と親が「これが僕の、わたしの強みだ」と自覚(自己認知)したとき、子どもは自分の特性を「武器」として使いこなすようになり、爆発的に伸び始めます。
わが子専用の「学びの設計図」:親の認知が「正しさ」から「適合」へ
多くの場合、親御さんは「世間一般の正しい教え方」に固執して苦しみます。
特にお受験では、幼児教室の先生が「正解の姿」をお子さんにも、親御さんにも押し付けてくる場面が多く見られるため、かえって子ども理解から遠ざかってしまうという困ったことが起きやすい世界です。
僕の講座は、もちろんお受験のための講座ではありません。
しかし、小学校受験で良好な結果が出ていることも事実です。
なぜそんな成果が生まれるのかといえば、僕が直接お子さんの「学び方の癖」を分析し、親御さんの視点を大きく転換する手助けをするからです。
【事例:Nさん家庭のTくん(体験記憶タイプ・和やか安定型)】
Tくんは、図形問題で「もっと紙から目を離して全体を見なさい」と何度も指示されてきたのですが、どうしても上手く実行できませんでした。
紙に目を近づけては見間違いをする、写し間違いをするということを繰り返していたのです。
親御さんは「集中していないのでは?」と疑い、焦っていました。
よくないと分かっているけれど、つい声を荒らげて、Tくんを叱りつけてしまうことも増えてきました。
萎縮したTくんは、ますますミスが増え、プリントをやりたくないと泣いて嫌がるようになってしまっていました。
Nさんが講座に参加されたのは、まさに親子ともに追い詰められるような状態に陥っていた時期だったのです。
90タイプ才能診断の結果、Tくんが体験記憶タイプだと分かっていた僕は、少人数グループ相談会の中で図形問題を解く時のTくんの様子をNさんから詳しく聞かせてもらいました。
それこそ体の動き、姿勢、家の中のどの場所でプリントに取り組んでいるのか、時間帯はいつごろか、お父さんはどの位置にいて、お母さんはどこにいて、それぞれどんな関わり方をしているのか、
といったことです。
Tくんが何を感じとっているのかを、目の前でありありと観察している感覚が得られるレベルまで、僕は質問を重ね、Tくんのことを理解していきました。
そして分かったことは、
「Tくんは自分の身体を通した理解を十分に得られないまま、指示された言葉で右往左往している状態になっている」
ということ。
そこで、親御さんには言葉の指示を一旦横に置き、
「後ろから手を取って一緒にペンを動かし、視線の動かし方を体感させる」という、本人の感覚に適合するアプローチを提案しました。
「そんなことをしなくても、何をどうしたらいいかは伝えているから、分かっているはずなんです」と、お父さんは当初、半信半疑な様子でしたが、それでも実際に試してくださいました。
すると、Tくんの口から驚くべき言葉が飛び出したのです。
「分かる!今日はよく見えるよ、お父さん!」
2回目の相談会の中でNさんは、「まさかあんなに反応が違うなんて、びっくりしました」と報告してくれました。
Tくんにとっての「体感」の大切さ、Tくんにとって「分かる」プロセスを本当の意味で理解できた、親の認識がはっきりと変化した瞬間だったのです。
自分の特性に合ったやり方を見つけた彼は、その後、苦手領域を次々と克服。
自ら「僕はできるんだ!」と自信ありげに語るようになり、プリント嫌いも徐々に解決して自己肯定感は一気に高まったのです。
子どものタイプ理解を「実感」するために親が手放すもの
【事例:Mさん家庭のYさん(感覚芸術タイプ・和気あいあい型)】
2人目の事例ですが、納得感を何より大切にするYさんも「お受験」でストレスを募らせているお子さんでした。
親御さんが「良かれ」と思って先回りして管理することが、かえって彼女のやる気を削いでいたのです。
「毎日、決まった枚数のプリントをこなしなさい」と親のMさんが決めたルールを押し付けても、Yさんは「なんで今やらなきゃいけないの?」と拒絶反応を示すばかり。
Mさんの伝え方、教え方は、感覚芸術タイプのYさんに合ったスタイルではなかったのです。
そこで僕は、学習の目的や予定をYさん自身に選ばせてあげる工夫をアドバイスしました。
Yさんの感覚で「あ、それならやれそう」とイメージできるよう、やることの候補を見せてあげ、実際にやってみたらどうなるかを想像できるよう、時間的な余裕を渡すように工夫したのです。
彼女自身に体感的なイメージを持たせてあげることで、動ける自分を感じ取ってもらったのです。
これまで「管理」することが親の役目だと信じ込んでいたMさんにとって、最初は不安だったそうですが、学習の予定なのにYさんが「私が決めていいの!?」と嬉しそうな反応を見せたことで、その不安は解消されました。
「あ、こんなにもこの子は自分の納得感が大事な子だったんだ」と、初めて実感できたのですね。
Mさんはそれから、これまでの管理・指導のポジションにいた自分を手放し、Yさん本人の「納得感」を観察し、寄り添うことを大事にし続けました。
すると、Yさんの自律性がぐんぐん開花していったのです。
ある朝、Yさんは自らこう言いました。
「嫌なことを後回しにすると後で大変だから、先にプリントをやっちゃうからね!」
3ヶ月前は、自分から始めることはなく、でも親に言われれば反発ばかりしていたYさんが、自分から課題に取り組むようになった。
それは、Mさんの適切な寄り添いによって、Yさんが自分の才能タイプの特性を理解するようになった成果でした。
自分のことが分かるから、自分で行動できる。
わずか5歳にして、自律的に学習をコントロールする力を手に入れた瞬間でした 。
小学校受験を合格で終えた後、Mさんからメッセージが届きました。
「受験の日が近づいてくるのに、自分の気持ちがどんどん穏やかになるんです。
本当に不思議な感覚でした。
講座を受ける前の私だったら信じられません。
『この子は大丈夫だ』と心から思えるようになっていて、とても楽しい受験になりました!」
合格の決め手は、親が「失敗の定義」を書き換えたこと
小学校受験の本番で、学校側は子どもたちのどんなところを観察しているのでしょう?
「行動観察」や「制作課題」でどんなチェックがされるのかが気になって、「正解の姿」を子どもに振る舞わせようと躍起になるあまり、親子関係が悪化するケースも少なくありません。
幼児教室によっては、まさにそうした「正解」を押し付ける先生もいるようです。
しかし僕が関わってきたいくつものご家庭が、お受験で上手くいってきた姿を見てきて分かるのは、学校側が本当の意味で見ているのは「完璧にこなす姿」ではないということです 。
自然体の姿、本人らしい「素」の姿、自己肯定感が高い様子、素直に取り組む姿、etc.
表現の仕方は色々ありますが、僕の言葉で言えば「自分との一致感を持った子」が評価されるようです。
その姿は、不測の事態、つまりトラブルに直面したときの「振る舞い」に表れやすいので、小学校側は入試でいろいろな課題設定を行って、お子さんの本質的な姿を見つけ出そうと工夫しているのですね。
【「わからない」を武器に変えた入試本番】
体験記憶タイプのTくんは入試当日、制作課題の途中で時間が足りなくなって、とても完成できそうにありませんでした。
受験生にとっては、絶望的とも言えるピンチに陥ったと言えるでしょう 。
ところが、彼はパニックになるどころか、試験を終えて教室から出てくるなり、にこにこと明るい表情でこう報告してくれたそうです。
「お父さん、ぼくね、時間が足りなくて間に合わなかったから、
先生に『手伝ってください』って言って、一緒に作ってもらったんだ!」
普通の親子なら、この報告を聞いた瞬間に「失敗した、もうダメだ」と青ざめてしまうかもしれません。
でも、Nさんご夫妻の反応は違いました。
講座を通じて、お二人は「できないこと=ダメなこと」という従来型の考えを手放し、「体験記憶タイプのこの子は、自分で実際に経験することから学び取っていけるんだ」とTくんのことを理解できていました。
できたかどうかではなく、「今この経験を通して本人が何を学び取ったのか」を大切にし、経験できたことを言葉にして語って聞かせてあげてきたNさんは、
「おお!それはすごいね!よく先生にお願いできたね。すごいぞ!」
と弾んだ声でTくんを褒めたのです。
親が「失敗」判断をするのではなく、本人が得られている価値に目を向けている。
体験を通して成長するわが子のことを観察し、信じられている。
その安心感がTくんに「ありのままの自分」を出す勇気を与えていたのですね。
お受験本番で、初めて会う先生たち、知らない子どもたちがいるなかで、自分から先生に質問し、助けを求めて最後までやり遂げる。
その「自然体の自分らしさ」こそが、試験官に「この子をうちの学校に迎え入れたい」と思わせた、何よりの決定打だったのだと僕は確信しています。
家族を「最強のチーム」に変えた、親同士の相互理解
小学校受験の最大の敵は、実はプリントの難易度ではなく、親の不安や夫婦間のズレが生み出す「家庭内の重苦しい空気」ではないでしょうか。
実際、僕が数々の子育て相談を引き受ける中で、「小学校受験」が原因で夫婦関係が決定的に冷え込んでしまった、決裂寸前の状態まで至った家庭とも、何組も出会ってきました。
中学校受験でも家族の思いのすれ違いが浮き彫りになって、関係が悪化するということはよく起きるのですが、
「親の受験」とも言われる小学校受験では、母親と父親の考え方や気質などが顕著にぶつかりやすい面はあるようです。
この点、「小川大介直接指導版”親にだけ教室”」の大きな特徴の1つに、「90タイプ才能診断を子ども1人につき、親は2人分の診断を受けられる」ということが挙げられます。
お子さんのことを理解するだけでなく、夫婦それぞれの遺伝特性も理解できる。
考え方、言動のクセ、噛み合わない感じがするもろもろの事柄が、お互いの才能タイプ(遺伝特性・認知特性)によるものだと分かっていくので、納得感が段違いです。
「分かる」ということがもたらす効果は非常に大きく、講座に参加された方は家族間のストレスが目に見えて減っていきます。
【「言葉を受け取るリズムの違い」によるストレスを乗り越え、「翻訳」が始まる】
論理派で言葉の定義を重んじる「リズミカル記憶タイプ」のお父さんと、
自分の体験、経験に基づいた考え方を大事にしたい「体験記憶タイプ」で「慎重判断型」のお母さん。
以前は、お父さんが日常的に何気なく口にする「なぜできないの?」「〇〇した方が効果的だと思わない?」といった「提案」の言葉が、お母さんには「自分への攻撃」に聞こえてしまっていました。
そのお母さんの反応がお父さんにとっては理解が難しいため、理解したいという思いから、説明を求めようとしてしまう。
それがまたお母さんには「問い詰められているようで辛い」という感覚になっていく。。。
誰も悪くはないのに、事実として、家庭内はかなりストレスに満ちた状態にありました 。
そこで僕は、お二人それぞれの才能タイプを解説し、お互いの言葉や振る舞い、感情を「翻訳」して伝えていきました。
ちゃんと理由があって、遺伝特性からもごく自然な反応であって、相手に対して害意を持っているわけでは決してないということを、才能タイプに基づいて解説をしたのです。
とてもシンプルだけれど、お二人にとってものすごく重要な気付きは「言葉を受け取るリズムの違い」でした。
お母さんは、身体感覚をよく使うタイプであり、かつ完璧主義度が高い行動の傾向から、言葉を受け取ってから自分自身の感覚や過去の体験記憶とすり合わせるのに、少しの「間」が必要なタイプです。
一方、お父さんは言葉を組み立てることが得意だからこそ、「間」を待てず、言葉を重ねてしまいたくなる傾向のあるタイプです。
お互いに、自分自身のこと、相手のことを理解するようになっていきました。
そしてある日、お母さんはお父さんに対して、こう伝えられるようになったのです。
「ちょっと待って。今、心の中で整理しているから、
自分の感じを確かめるのに、少し時間をちょうだい」
相手を否定するのではなく「自分の状態」を客観的に伝える。
お父さんも、才能タイプの違いを理解して「待つ」というチームプレー。
この「翻訳」により、お互いの噛み合わない感じによる家庭内のストレスは日に日に減っていきました。
すると、家庭が安心の場になったことを教えてくれるように、お子さんが目に見えて意欲的に、明るくなったそうです。
お父さんも、お母さんもお子さんのことを大切に思い、愛情深く接してきたご家庭だったのですが、どこかでお子さんなりに「親の顔色を伺う」ようなところがあったのかもしれません。
家族が分かり合うことの大切さ、力を僕自身も学ばせてもらったエピソードです。
受験を「合格」で終わらせない。その先の「最高の成長」へ
この記事を読んでいる方は、お子さんが未就学の方から、お子さんがもう中学生、高校生といった方まで幅広くいらっしゃいます。
ここまで読んできて、
「うちは小学校受験とは無関係なんだけどな・・・」
「もう子どもは高学年だし、今さらの話かな??」
などと感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。
ですが、僕が今回の記事を通して皆さんにお渡ししたい本質は、小学校受験の話ではありません。
受験の合否は家族にとって大きな関心事であり、心動かされるものですが、どこまでいっても「一時的な通過点」にすぎません。
より本質的なことは、「お子さん自身の最高の成長」を引き出す一生モノの視点と理解です 。
実は、子どもが何歳であっても、成長のメカニズムは変わりません。
「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもので、遺伝の働きが次々に解明されてきたことで、人が生まれ持った特性は、大人になっても根本的なところでは変わらないことが分かっています。
だから僕は「直接指導版」では、お子さんだけでなく親御さんのことも深く理解し、親御さん自身にも「自分との一致感」を大切にしてもらっています。
- わが子の小さな仕草や表情を観察し、その子だけの「才能タイプ」を正しく理解すること 。
- 「あなたらしいね」と伝え続けることで、子ども自身が「自分はこれでいいんだ」と自分の特性をポジティブに使いこなし始めること 。
- 自分を「自己認知」できるようになった子は、中学、高校、そして社会に出ても、自律的に学び、自らの力で成長していけるようになること。
- 親自身が自分を理解することで、親をがんばる辛さ、苦しさから解放されていくということ。
たとえ今、お子さんが反抗期であったり、学習に行き詰まっていたりしても、それは「その子らしさ」と「親の関わり方」のボタンが少し掛け違っているだけであることがほとんどです。
先生と噛み合っていなくてお子さんが苦労していても、親が「翻訳の力」を持つことで、状況を改善していくことができます。
小学校受験も中学校受験も、お子さんが自分らしさを見つけ使いこなしていく成長の一過程です。
合格やテストの点数は、その素晴らしいプロセスの中で得られる、一つの「副産物」に過ぎないのですね。
(「価値がない」とは言っていませんよ!もちろん大事だから、僕は受講者の受験も一生懸命にお手伝いするのですから)
本当の成果は、ある日ふと受験や試験を終えたときに、
お子さんが「わたしはできる子なの」「僕のタイプはこれが得意なんだ」と、自分自身のことを納得感と安心感を持って語れること、感じ取っていることです。
その時、親子の絆はたしかな安定感と共に、深まっているのです。
「うちの子の『らしさ』をどう伸ばせばいいのか?」
それはお子さんが何歳であっても、今この瞬間から始められる科学的に実証されたプロセスです 。
僕は全てのご家庭が、お子さんと、親御さんとが、「自分との一致感」を確かなものとして、才能発揮を叶えていって欲しいと願っています。
次は、あなたのご家庭が、才能タイプ子育てによって「一生モノの自走力」を手にする番です。
※「小川大介直接指導版『親にだけ教室』」は不定期開催のため、講座案内ページは公開しておりません。ご関心ある方は、公式LINEにお問い合わせのメッセージをお送りください。
最後まで記事を読んでくださってありがとうございました!
✦ 才能タイプ子育て 小川大介 ✦