才能タイプ子育て 最終更新日時:2026.08.28 (公開日:2026.08.28)

【高学年の親御さんへ】9月に全部取り返そうとしてはいけない

【高学年の親御さんへ】9月に全部取り返そうとしてはいけない

夏休みが終わり、9月に入ると、中学受験のご家庭では空気が一気に変わります。

小6は、いよいよ過去問と志望校対策が見えてくる時期です。

小5は、授業内容がさらに重くなり、問題の複雑さも増してきます。

小4は、ここから受験勉強らしさが強くなっていきます。

だからこそ、親御さんは焦ります。

夏期講習を頑張った。宿題もこなした。復習もした。テスト直しもした。それなのに、成績が思ったほど伸びていない。9月を前にして、「このままで大丈夫なのか」と不安になっているご家庭は多いはずです。

特に中学受験では、夏休みがとても大きく語られますよね。

「夏が勝負」「夏で差がつく」「夏の頑張りが秋に出る」。そう言われ続けると、夏休み明けに思ったような成果が見えない時、親はどうしても焦ります。

「9月から取り返さなきゃ」「もっと問題を解かせなきゃ」「模試の間違いを全部直さなきゃ」「過去問も始めなきゃ」「苦手単元を残したままではまずい」。そう考えるのは自然です。

でも、ここで気をつけてください。9月に全部取り返そうとしてはいけません。

 ・勉強量を増やせば、成績が上がる。

 ・問題をたくさん解けば、夏の遅れを取り戻せる。

 ・ 間違えた問題を全部直せば、次は点になる。

そう考えたくなる時ほど、注意が必要です。

問題を解いた量と、頭の中が整理された量は同じではありません。

夏に積み上げたはずのものが点につながっていないなら、見るべきなのは「量」ではなく「サイクル」です。

習った。分かったつもりになった。宿題をこなした。

でも、記憶に残っていない。テストで使えない。

間違えた時に、どこでつまずいたのか分からない。

ここで止まっている子は、9月にさらに演習を足しても空回りします。

まず必要なのは、今の持ち点をつかみ、勉強力サイクルのどこが止まっているのかを見直すことです。

    Contents

  1. 親が「9月から取り返さなきゃ」と力んでいないか
  2. まず「今の持ち点」を確認する
  3. 勉強力サイクルを1週間に組み込む
  4. 小4・小5・小6で、9月の意味は違う
  5. 模試は「4分類+正答率」で見る
  6. 才能タイプに合わせて、勉強力サイクルの回し方を変える
  7. 9月は、増やす前に整える
小川  大介

教育家・才能タイプ子育て研究所 所長

小川 大介

1973年生まれ。京都大学法学部卒業。

私は学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として学習産業に関わってきました。
大学を卒業した後、ご縁をいただいて、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設し、以降18年間に渡って代表を務めてきました。

親が「9月から取り返さなきゃ」と力んでいないか

高学年の2学期、とくに中学受験生の親御さんは、本当に忙しいです。僕はよく知っています。

塾の予定があり、宿題があり、テストがあり、模試があります。志望校の情報も気になりますし、小6なら過去問の開始時期も気になる。周りの子がどれだけ進んでいるのかも、どうしても気になるでしょう。

そこに夏休みの成果が思ったほど見えないとなると、頭の中が一気にいっぱいになります。

この単元もやらせないと。あのテストも直さないと。理科の暗記が抜けている。国語の記述が弱い。算数の応用が取れない。社会はまだ詰められるはず。

こうして親の頭の中に、やらせたいことがどんどん積み上がっていきます。

でも、その焦りがそのまま子どもに渡ると、子どもはもっと動けなくなります。

親としては、子どものために考えているだけなんです。

でも、子どもからすると、目の前にやるべきものがどんどん増えていく。

何から手をつけたらいいのか分からなくなる。
やってもやっても終わらない感じがする。

そして、だんだん頭が働かなくなる。
気分もふさいでやる気が湧かなくなる。

こういうことが起きるんですね。

だから9月にまず整えたいのは、実は子どもの学習ではありません。親の頭の中です。

親が、何を急ぐのか。何は今やらないのか。
何を見れば、この子の学習が回り始めるのか。

そこを整理してから、子どもの学習に向かう必要があります。

まず「今の持ち点」を確認する

9月に最初に確認するのは、今のお子さんが、どこが「できている」か、「点を作れている」かです。

「できていないこと確認」ではありません!

僕はこれを「持ち点をつかむ」と考えています。

秋になると、足りないものばかり目に入ります。

この単元も弱い。
模試も直さなきゃ。
過去問も始めなきゃ。
暗記も抜けている。
述も不安。

確かに、どれも大切なことです。

ただ、それを全部並べると、子どもから見れば「自分はできないものだらけ」に見えてしまいます。

そうではなく、まず科目ごとに、どこまではできているのか、どの単元なら点が取れそうなのか、どの問題タイプなら比較的安定しているのか、どこが今の得点源になっているのか、どこは少し戻せば使える状態になりそうなのかを、大まかに確認してください。

小6で重要単元の学習がある程度進んでいる子なら、志望校の出題傾向も見ながら確認します。

算数なら、この分野では点が取れそうだ。
国語なら、この種類の問題では安定している。
理科なら、この単元は今の実力でも得点源になる。
社会なら、この範囲は保っておきたい。

そうやって、今持っている得点を確認します。

まだそこまで学習が仕上がっていない場合は、もっと簡単で構いません。

普段使っている基本のテキストを出して、目次を開いてください。

単元ごとに
「ここは大丈夫」
「ここはちょっと怪しい」
「ここはまだ、今は後回し」と

印をつけていくだけでも、頭の中は整理され始めます。

大切なのは、できないところ探しから始めないことです。

まず全体を見渡す。そのうえで、どこを優先して学び直すかを決める。この順番が大切です。

勉強力サイクルを1週間に組み込む

2学期に学習を軌道に乗せるためには、勉強時間を増やすだけでは足りません。

大切なのは、学習がきちんと一周しているかを見ることです。

僕は、学力を伸ばす学習の流れを「勉強力サイクル」と呼んでいます。

大まかに表現すれば、

習う⇒理解する⇒記憶に残す⇒使ってみる⇒使えなかったところを理解し直す

といった学習のプロセスです。

習うだけでは、学力になりません。

問題をただ解いただけでは、学力になりません。

一度聞いた知識が、使える知識に変わるためには、何を習ったのか、どこがポイントなのか、どう覚えればよいのか、問題で本当に使えるのか、使えなかった時にどこを理解し直せばよいのか。

この流れが必要です。

ところが、2学期になると塾の授業も課題も増えていきます。

授業を受ける。
宿題をする。
テストを受ける。
間違い直しをする。
また次の授業を受ける。

この流れが速くなりすぎると、子どもは「やっている」のに身についていない状態になります。

ここで親が
「もっと頑張らせないと」
「もっと演習させないと」と考えると、
さらに勉強力サイクルが崩れてしまいます。

△ 習ったことを理解する前に、次の宿題へ行く。
△ 記憶に残す前に、次の単元へ行く。
△ 使えなかった理由を確認する前に、次の問題を解く。
△ どこで間違えたのか分からないまま、解き直しだけを増やす。

これでは、子どもは勉強しているのに伸びません。

だから9月は、1週間の中に勉強力サイクルを配置設定してください。

塾に行く日、
授業内容を確認する日、
演習する日、
理解し直す日、
テストを受ける日、
テスト後に次の学習目標を決める日。

1週間を眺めて、どの日のどの時間に、学習のどのステップを配置するのかを整理します。

どこで理解するのか。
どこで記憶に残すのか。
どこで使ってみるのか。
どこで理解し直すのか。

ここが見えていないと、子どもはずっと「宿題をこなす」だけになります。

特に小5後半から小6にかけては、ここが非常に大事です。

問題文の情報量が増えます。
条件を整理する。
図を書く。
式を立てる。
途中で考え直す。
設問の意図を読み取る。
複数の知識をつなげる。

解答までのプロセスが長くなります。

すると、間違えたあとに「どこで間違えたの?」と聞かれても、本人にも分からないことが増えてきます。

そうなると、毎回一から全部解き直す。全部覚え直す。全部やり直す。

これでは時間がいくらあっても足りません。

解くこと以上に、どこで理解が崩れたかを確認できる勉強に変えていく必要があります。

小4・小5・小6で、9月の意味は違う

小4・小5・小6、学年によって、9月の意味は違います。

小4の9月にやることは、夏の遅れを取り返すことではありません。

これから本格化する中学受験に合わせて、勉強の仕方を作り替えることです

小4前半までは、低学年までに積み上げてきた力や、本人がもともと興味を持っていた知識が、そのまま点数になることがあります。

社会が好きな子なら、知っていることだけでも答えられる。

算数が得意な子なら、これまでの感覚だけでも解ける。

すると、親からは「うちの子は勉強できているな」と見えます。

でも実は、新しく習ったことを理解し、覚え、使えるようにする訓練は、まだ十分できていないことがあります。

だから小4は、これからの受験勉強に必要な勉強力サイクルを作り始める時期です。

点数が下がったからといって、
「算数が苦手なんだ」「国語ができないんだ」と決めつけないでください。

まだ、勉強の仕方を作っている途中です。

小4で一番気をつけてほしいのは、勉強嫌いにさせないこと。苦手意識を植え付けないことです。

小5は、勉強力サイクルを本格的に点検する時期です。

小5の秋から、勉強時間を増やしても成績が上がらない子が増えてきます。

理由があります。

問題が難しくなるからだけではありません。
勉強のやり方が、問題の難しさに追いつかなくなるからです。

小5後半になると、問題文の情報量が増えます。

算数でも、頭の中だけでパッと答えが出るような問題ばかりではなくなります。

条件を整理する。
図を書く。
式を立てる。
途中で考え直す。

こうしたプロセスが増えていきます。

国語でも、設問が何を聞いているのか、本文のどこを見ればよいのかを確認する力が必要になります。

理科や社会でも、単に覚えているだけではなく、知識を使う場面が増えていきます。

だから小5は、何を習ったか、どこまで分かったか、何が使えなかったか、どこを理解し直すか。

この精度を上げる時期です。

「とにかく量をやる」だけでは、回らなくなります。

小6は、持ち点を確認して、伸ばす得点を選ぶ時期です。

小6は、もう受験本番が見えてきます。
だからこそ、不安に任せて「あれもこれも」と広げないことです。

✅️基礎がまだ必要なら、基本教材に戻る。

✅️ある程度仕上がっているなら、志望校の出題傾向も加味する。

✅️得点源になる単元を固める。

✅️正答率が高いのに落としている問題を戻す。

✅️過去問に入る前に、今の自分がどこで点を持っているのかを確認する。

ここを飛ばして、いきなり過去問を解き散らかすと、必要以上に不安が増えることがあります。

過去問は、今のお子さんの力と志望校が求める力との距離を測るためのものです。
だからこそ、頭が散らかった状態で無理に始めると、実力以上に「できない」と感じてしまうことがあります。

小6の秋は、全部をやる時期ではありません。伸ばす得点を選ぶ時期です。

模試は「4分類+正答率」で見る

模試を受けたあと、間違えた問題に全部印をつけて「全部やり直し」にしているご家庭は多いでしょう。

しかし、「模試の間違いを全部やり直す」という学習法は、あまりオススメではありません。

小4の間はなんとかなっても、小5以降は時間がなかなか取れなくなるというのも理由の一つです。

それ以上にオススメできない理由は、間違いには種類があるからです。

間違いの種類に応じた学習を行わなければ、模試の直し学習は効果半減です。

まず、子ども本人の感覚と実際の結果を組み合わせて、4種類に分けてください。

◯ できると思っていて、実際にできた
☆ できると思っていたのに、間違えた
× できないと思っていて、実際にできなかった
? できないと思っていたのに、実際は〇だった

この4つです。

最優先で見るのは、☆です。

できると思っていた。

つまり、本人の中では知識も理解もあるつもりだった。

なのに点になっていない。

これは、ちょっとした理解不足、確認不足、使い方のズレを直せば、
比較的短い時間で得点に変えられる可能性があります。

次に見てほしいのが、?です。

本人は「分からなかった」「自信がなかった」と思っている。
でも正解している。

ここも放置しない方がいいです。

たまたま当たっただけなのか。
実は理解できているのに、本人が自覚していないのか。

ここを確認しないと、本当は理解していないことを、できたから大丈夫と思ってそのままにしてしまうからです。

そして×。

できないと思っていて、実際にできなかった。
ここは、今すぐ全部に取り組むのは非効率です。

習ったのにできていないものを、「できる」に変えるには時間も労力もかかります。

ですから、今取り組むものと、後回しにするものを分けることが大事です。

後回しにするものは、「追加で取り組みたいファイル」に入れて残しておきます。

今はやらない。でも必要になったら戻れるようにしておく。

こうすると、やらない不安を引きずらずに済むので、結果として目の前のやることが増えすぎません。

では、×の中で、今やる問題をどう選ぶのか。

僕が一つの目安として使っている考え方があります。【100 − 目標偏差値】です。

たとえば目標偏差値60なら、100 − 60 で40。
模試で正答率40%以上の問題を落としていたら、優先的な学び直し候補にする。

目標偏差値50なら、正答率50%以上。

もちろん、これは絶対的な公式ではありません。

テストによっても違いますし、問題の内容によっても判断します。

ただ、どこから手をつけるかを決める一つの目安としては使いやすいと思います。

僕はテストには、大きく3つの意味があると考えています。

▶ 第一に、できていることを確認する。

▶ 第二に、できているつもりだったのに、不完全だったところを見つけて、すぐ定着し直す。

▶ 第三に、次の短期学習目標を決める。

できなかったもの全部ではありません。

できていないものの中から、今取り組めば比較的早くできるようになりそうなものを選ぶ。

つまり模試は、「できなかった問題集」ではなく、次の学習計画を作るための材料です。

ここの意識を変えるだけでも、秋の勉強量はかなり整理できます。

才能タイプに合わせて、勉強力サイクルの回し方を変える

ここで、才能タイプ子育てとして大事なことがあります。

才能タイプ別勉強法で、一番やってはいけないのは、「このタイプだから、この勉強法」と決めつけることです。

才能タイプを見るのは、人を型にはめるためではありません。

同じ勉強力サイクルでも、どこで理解しやすいのか、どこで止まりやすいのか、何を手がかりにするともう一度頭が動き始めるのか。そこを見るためです。

たとえば、瞬間記憶タイプの子は、見た情報を短時間でつかみやすい。

「分かった」という感覚が早く来ることがあります。

でもその「分かった」が、本当に問題で使えるところまで定着しているかは別です。

ですから、見た、分かった、で終わらず、自分で使えるかの確認を丁寧に入れる必要があります。

知識欲求加速タイプなら、意味や仕組みがつながることで理解が進みやすい。

ただ回数をこなすより、「なぜそうなるのか」「この知識とあの知識はどうつながるのか」が見えることで、学びが進みやすくなります。

体験記憶タイプなら、実際に問題を解いた経験や、具体的な出来事と結びつけることで理解が残りやすい。

説明を聞いただけで終わらせず、「じゃあ一回やってみよう」と経験までつなげることが大切です。

感覚芸術タイプなら、部分を一つずつ積み上げる前に、全体のイメージや意味をつかむことで理解しやすくなる。

いきなり細かな手順を詰め込むより、「今日は何を考える話なのか」という全体像を持たせることで、頭を動き始めさせることがポイントです。

このように、同じ「理解する」、同じ「覚える」、同じ「問題を解く」でも、本人が頭を動かしやすい入口は違います。

だから才能タイプを知る意味があります。

大切なのは、「この勉強法が正しいからやらせる」ではありません。

我が子の才能タイプを理解し、ではどこをどう変えれば、「この子の勉強力サイクルが回り始めるのか」を、我が子専用で考えていくことです。

9月は、増やす前に整える

夏休みが思ったようにいかなかったとしても、それだけで秋の結果が決まるわけではありません。

でも、焦って全部取り返そうとすると、やることが増えて、親は苦しくなり、お子さんは本来の力が発揮できなくなります。

だから9月は、増やす前に整える。

僕はこれを大切にしてほしいと思います。

勉強時間を増やすより、何をやるのか。どの順番でやるのか。
どこまでできているのか。
何を今は後回しにするのか。
勉強力サイクルのどこで止まっているのか。

ここが見えると、秋の学習はずっと回りやすくなります。

そして、子どもによって、回りやすいやり方は違います。

そこを見つけてあげる。それが、才能タイプ子育ての考え方です。

もし今、

「うちの子は、勉強力サイクルのどこで止まっているのか分からない」

「成績表や答案を見ても、何から立て直せばよいのか判断できない」

「9月以降の学習を、子どものタイプに合わせて整理したい」と感じているなら、

「個別分析セッション」で今すぐ、精度高く整理し、解決していきましょう。

成績表、答案、学習の様子、親子の関わり方をもとに、お子さん専用の立て直し方、伸ばし方、優先順位の整理を、僕が具体的にお教えします。

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