見守る子育て 最終更新日時:2025.06.16 (公開日:2025.06.16)

夏休み、頑張ったのに成績が伸びない――同じ悩みを繰り返さないために

夏休み、頑張ったのに成績が伸びない――同じ悩みを繰り返さないために

中学受験を目指すご家庭にとって、夏休みは「一年で一番大事な時期」とよく言われます。
「夏を制する者が受験を制する」なんて言葉もあり、親御さんもお子さんも「夏こそ頑張らなきゃ」と心を奮い立たせていることでしょう。

ですが、実はこの「夏を頑張る」という考え方が、うまくいかない原因になることも多いのです。
毎年のように、「あれだけ頑張ったのに成績が伸びなかった」「むしろ下がった」という相談を受けています。

一生懸命頑張ったのに報われない――
これは子どもにとっても、親御さんにとっても大きなショックです。
頑張りが結果に繋がらなかったとき、子どもは「自分はダメなんだ」と自己否定に陥りがちです。
この失望が、受験だけでなく、その先の学習意欲にまで影を落としてしまうこともあります。

だからこそ、夏を頑張る前に知っておいてほしいことを今回、お伝えします。

    Contents

  1. 成績が伸びない子と親の共通点とは?
  2. 学年ごとに違う、夏休み学習の落とし穴
  3. 夏休み前に「学び方」をバージョンアップしよう
  4. 家庭でできる3つのヒント
  5. 最後に
小川  大介

教育家・見守る子育て研究所 所長

小川 大介

1973年生まれ。京都大学法学部卒業。

私は学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として学習産業に関わってきました。
大学を卒業した後、ご縁をいただいて、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設し、以降18年間に渡って代表を務めてきました。

成績が伸びない子と親の共通点とは?

夏休みを頑張ったのに結果が出ない子とその親御さんには、実は共通のポイントがあります。

それは、
「何をどれだけやるか」だけに気を取られてしまうこと。

「弱点単元を克服させなきゃ」
「問題集を〇冊終わらせよう」
「毎日〇時間は勉強させよう」

こうして学習計画は立派に作られていても、
「どのように学ぶか」 の視点が抜けてしまっているのです。

量をこなすことばかりに意識がいって、理解の質や学び方の工夫が後回しになる。
これが、夏を頑張ったのに結果がついてこない原因の多くを占めています。

 

学年ごとに違う、夏休み学習の落とし穴

「学び方が大事」と一言で言っても、学年によって求められる取り組み方は変わってきます。

 小4の夏

小4はまだ自由時間が多く、塾の授業や宿題の量もそこまで多くありません。
だからこそ、気を抜くとダラダラしてしまったり、計画通り進められない子が多いのです。

逆に言えば、自由時間を「自分で決める」「自分で管理する」練習をするのに最適な時期です。
親がずっと横に張り付いて勉強を見ていると、親も子も疲れ切ってしまいます。
むしろ、自己管理の仕方を一緒に考える夏にすることが、5年生以降に大きな差を生みます。

 

 小5の夏

小5になると、塾の授業や宿題が一気に増えます。
算数では「割合」「速さ」といった、抽象的でつまずきやすい単元が本格的に登場します。
国語でも、論説文や随筆など、大人の感情を読み取る力が求められます。

つまり、小5の夏は「ただ覚える」だけの学習から、
「理解して使う」学習に切り替えるタイミング です。

ですが多くの子は、覚えるだけの勉強のまま突き進み、難しい単元で立ち止まってしまいます。
親御さんは、どこでつまずいているかを一緒に見つけ、理解を深めるサポートが大切です。

 

 小6の夏

小6の夏は、受験生にとって最大の山場。
授業の数も宿題も過去問も増え、「時間が足りない!」となるのが当たり前です。

このときに量で押し切ろうとすると、必ず崩れます。
大切なのは、授業中の理解度を高めること。

「塾の授業でどれだけ分かって帰れるか」
これが6年生の夏の成否を分けます。

家での復習だけでは追いつきません。
授業内で吸収できる量を最大化し、その日のうちに整理しておくことが、秋以降の飛躍に繋がります。

 

夏休み前に「学び方」をバージョンアップしよう

では、どうしたら頑張りが結果に繋がるのでしょうか?

それは、学び方の質を上げること。

お子さんが、
「どうして間違えたのか」
「どこでつまずいたのか」
「授業中にどこまで分かって帰ってきたのか」

こうした学習の中身を、親子で一緒に確認してみてください。

テストの点数や間違えた箇所だけを見るのではなく、
「どう考えたのか」「どう授業を聞いていたのか」 に目を向けるのです。

 

家庭でできる3つのヒント

1️⃣ 学習目標を一緒に立てる

「次のテストで何点取りたい?」
「そのために何をどれだけやればいいかな?」

目標を数字で決め、必要な行動を一緒に分解してみましょう。

 

2️⃣ 授業の受け方を振り返る

授業の進め方をお子さんに聞いてみてください。
「どこでノートを取ってる?」「どのタイミングで先生の話をメモしてる?」

具体的に話してもらうと、理解度や聞き方のクセが見えてきます。

 

3️⃣ 質問の仕方を練習する

分からないところをどう質問すればいいか、親子でシミュレーションしておきましょう。
「ここが分からないんですが、どこを復習すればいいですか?」
こうした一言が言えるだけでも、理解度は格段に変わります。

 

最後に

夏休みは確かに受験の天王山と言われます。
でも、本当に大事なのは「どれだけ長く机に向かわせたか」ではなく、「学び方をどう進化させられたか」。

親御さんが見守り、必要な声かけをするだけで、お子さんの努力は必ず結果に繋がります。

どうか「何をどれだけ」より「どのように学ぶか」を、親子で一緒に考えてみてください。

この夏が、お子さんの学力だけでなく、自信を育てる時間になりますように。

応援しています。