「休む」という言葉に皆さんはどんなイメージを持っていますか?
今回は、アクティブに活動できる子の親が実践している「休ませ方」についてお伝えしていきたいと思います。
休みたがる時の子どもの事情とは、どのようなものかを理解してあげると、接し方も分かってきます。ダラダラしていたり、グズグズとして宿題になかなか取り掛からないといった状況にも、子どもなりの理由が隠されているものです。
【子どものストレス】『休ませ上手の親がやっている』頭と体を休ませるコツとは?
教育家・見守る子育て研究所 所長
小川 大介
1973年生まれ。京都大学法学部卒業。
私は学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として学習産業に関わってきました。
大学を卒業した後、ご縁をいただいて、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設し、以降18年間に渡って代表を務めてきました。
「休みたがる」ことと「やる気」の関係とは
まず一つ目、「休みたがること」と「やる気」との関係についてです。
例えば、宿題をやるはずが、ダラダラしてなかなか始めようとしない。
「宿題は?」と聞くと、「なかった」とか「もうやった」と言って、何か理由つけてズル休みをしようとする。こんな様子を見た時、大人は、やる気のない子だとか、怠け者だ、という受け取り方をしがちではないでしょうか?
でも本当にそれはやる気の問題なのでしょうか。子どもたちが休みたがる状況と、やる気の問題とを、安易に結びつけて良いのでしょうか。
ここで注意して欲しいのが、「休む」には、大きく二つあるということです。
一つは、「もう疲れた」「もうヘトヘトだ」という“止まるための休み”。
もう一つは、次に頑張りたいことがある場合、例えば「もう1回遊びたいから、ちょっと1回休憩して、よし遊びに行くぞ」という、“次にやりたいことがあるための休み”。
この二つの種類があるのです。
いずれにしろ、疲れたから止まって、止まったから、また次動けるというサイクルが上手に動くと、アクティブな活動に繋がる休みになっていきます。
ただ、ここで問題なのは、まだ始めてもいないのに「疲れた」という場合です。
例えば、宿題も始めていないのに、ソファーでゴロゴロしている。「そろそろ?」と言えば、「もうしんどい」と、何か疲れてしまっている。こんな事ありませんか?
これは、嘘をついているのではなく、本当に疲れているんです。
どうしてかというと、次にやれそうな自分、やりたいなと思える自分に、出会えていないからです。ただ、休みながらも頭では気になっていて、止まっていても神経は動いているわけですから、疲れてしまうんです。
このように、「休んだその先」が無いので、ただズルズルとフェードアウトしていくような休みが繰り返され、そして、いわゆるズル休みと言われる状況を繰り返す癖がついてしまうわけです。
これは「休むことの癖」がつくのではなく、「動き出さないことの癖」がついている状態です。やれそうだと思えるポジティブな自分の確認ができていないのです。
つまり、好きなことを楽しめているとか、できるぞという自信、それがない状態で日々時間を過ごす、その習慣がついてしまっているということです。
ですから、“休みたがる”いうことを、いきなり“やる気の問題”として大人が結び付けてしまうと、実は、そこには、その子の目的意識や自分ができそうだというセルフイメージが無いといった、より大きな話が隠れていることに気づいてあげられず、“できていない”、“やる気がない”というネガティブな評価だけを加えてしまい、ますます子どもが止まり続けてしまうことを引き起こしかねないのです。
まずはそのことを知って欲しいと思います。
「休ませ上手」な親御さんの秘密
お子さんを上手に休ませてあげられる、つまり、アクティブに活動できるための休憩をうまく取らせてあげている親御さんには、共通点があります。
それは、“子どもへの信頼”があることです。
「できるよね」「大丈夫だよ」「これ好きだよね」という風に、お子さんが動けるということを知っていて、だから子どもに時間を渡すことも信頼してできています。
「休んだから動けるね」という確信があるので、子どもが煮詰まっていたり、「今日休みたいな」という感じが見えたりした時にも、「1回休憩入れて、続きをまたやればいいんじゃない?」と、パっと声をかけてあげられる。
「どれぐらい休んだら大丈夫そうかな?」という風に聞いてあげられる。つまり、休んでOKなのです。
なぜなら、「動けるよね、大丈夫だよね」という、信頼感が下地にあり、休むということが、子どもの次の活動とセットでイメージできているからです。
だから、笑顔で休ませてあげられているんです。
また、上手な親御さんというのは、“頭を休めることと”と“体を休めること”は、種類が違うということをよくご存知です。
頭が疲れている時。これは頭の中が混乱して整理がついていない場合や、気になることを抱えていてスッキリしない、そういった精神的疲労感が募っている状態です。
その場合、ただ横になって休めばいいわけでなく、頭の中のゴチャゴチャの整理を手伝ってあげたり、話を聞いて何とかなりそうだと安心させてあげたり、といったことで元気になっていくんです。
または、考え込むことから1回離すために、好きな本を思いっきり読んでいいよとか、30分ゲームしてもいいよと、何かに集中させてあげることによって、頭の疲れを抜いてあげる、このような休ませ方を知っているわけです。
一方、体の疲れの場合は、ゆっくりと横になるのはもちろん、甘いものや消化の良いものを摂ることで、体にパワーをもう一度蓄えさせてあげるというのも、良い休ませ方です。
また、ストレッチで血流を改善させたり、ゆっくり深呼吸をさせたりして、体に酸素を行き渡らせてあげることによって、体の機能を回復させる休み方もあります。
この“頭を休ませる”のか“体を休ませるのか”の使い分けがわかっている親御さんは、本当に休ませ上手だし、子どもたちも元気になりやすいですよね。
【見守る子育て式】アクティブに活動できる子の親がやっている親子の関わりとは
お子さんがやりたいな、やれそうだなと思えることを一緒に見つけて、
こうやれば楽しいよね、と共感してみましょう。そのために休憩も入れていこうね、というスタンスで関わることを意識してみてもらえたらと思います。
くれぐれも「休んだのだから、さっさと頑張りなさい」と、休憩という権利を得た以上、行動という義務を決め果たしなさい!というような関わり方は、やめてみましょう。